〜この春、通信制高校を訪問して感じたこと〜
十人十色の生徒たちの目的と希望をもった未来へつなぐ。

私は沖縄県で二十四年間、学習塾の教室責任者を勤めております。その中で、塾の形態が主に個別指導ということもあってか、保護者や生徒からは文字通り個別の相談を様々に受けてきました。そしてここ四、五年ほどで頻繁に保護者から出されるようになったのが「通信制高校」に関する話題です。その際は私自身が不勉強であったため、十分な進路指導ができなかったという自覚と反省がありました。そこでこの春、実際に「つくば開成高等学校」と「仙台育英学園高等学校」を訪問し、お話をうかがってきました。すると、それまで曖昧だった通信制高校に対するイメージがかなり鮮明になり、生徒・保護者・高校・塾が同じ方向を見て歩んでいけるという確信を得ました。
以前の私の認識では、通信制を選ぶ生徒・保護者というのは、たとえば様々な理由から中学校に通うことができなかったために全日制高校への進学を断念せざるを得なかった場合が多かったと思います。あるいは、いわゆる進学校に入ったものの学業に付いて行けず、やむなくそこを退学して通信制に編入を決めるというケースも耳にしてきました。「つくば開成高等学校」の名護事務長が話されていましたが、そういう生徒や保護者は最初とてもつらい表情でお見えになることがあるそうです。名護先生が「そういう表情をなくしたい」と強く話しておられたのが印象に残っています。
そして今、私はかなりトレンドが変わってきていると感じています。つまり、通信制を選択するというのは選択の余地がないからではなく、選択肢のひとつとしてとらえるようになってきているということです。また、通信制を選択する生徒や保護者のためにも、更にそのようになっていくことは正しいことだと思います。今では沖縄県内には二十を超える通信制高校があり、全国の高校生総数の八パーセントが通信制高校に通っているというデータもあります。
全日制と張り合うのではなく、生徒それぞれの個性を受け入れて多様性に富む社会を形成するために共存し、我われ学習塾もまた、そのような十人十色の生徒たちを目的と希望をもった未来へと導くために、間に立ってつないでいくことができると思います。先日訪問した「つくば開成高等学校」では卒業生に当塾の元塾生がおり、私は知らなかったのですが、今では埼玉で自立して美容師をしている姿が写真で掲示されていました。また、「仙台育英学園高等学校」は二年前から全日制を開校していますが、そこを志望する生徒が当塾にいるので直接訪問したわけですが、庄司教頭先生は私ひとりのために小一時間をかけて学校や入試の説明と校内の案内をして下さいました。ちょうど昼休みということもあり、校内の生徒たちの普段の様子を垣間見ることができましたが、他校では見ることのない専門学生のような個性的な装いと雰囲気の生徒たちが校内を掃除し、当たり前のようにさわやかな挨拶をしてくれるのは、とても心地よいものでした。
子どもたちが胸を張って未来の選択をしていける社会を作っていく上で、通信制高校はその存在の意義をもっと社会に発信していくべきだと私は思います。

リード学習塾 代表 前田隆治

リード学習塾

安波茶校 沖縄県浦添市安波茶3-7-6
浦西校  沖縄県浦添市西原1-1-9